めまいの種類

更新日:2011.12.23

執 筆:整体師 佐藤優

めまいの分類

めまいを起こす疾患は数多くあります。
そこで、めまいを中心に簡単に分類をしていきたいと思います。

めまいの分類には耳鼻科的立場・神経内科的立場・脳外科的立場からなど、色々な分類法があります。
これから述べる分類は特定しやすく、めまいの出方とその随伴症状から判断して分類していくものです。

めまいの分類にはまず大きく分けて、

  1. ふらつき
  2. 立ちくらみ
  3. 回転性

この3種類に分類されます。
まず、この3種類を1つずつ説明していきます。

1. ふらつき

ふらつきは軽度の内耳障害も考えられますが、主に中枢性の平衡障害が考えられます。
平衡感覚を司る脳幹や小脳に血流が回らなくなり、ふらつきが起こります。
この場合の原因は、構造的なストレス、特に胸頸部・頭頸部のゆがみによる血管圧迫です。
4つのストレスによる自律神経(血管運動)失調があります。
また、回転性の回復期や小脳炎・脳幹炎、脊髄小脳変性症でもふらつきが認められます。

2. 立ちくらみ

立ちくらみは失神直前の状態とも言われ、脳幹の背側にある網様体に虚血が起きたときに起こります。
この虚血が強く生ずると、眼前暗黒感といって文字通り目の前が真っ暗になる状態になります。
これは、主に若い人では起立性自律神経失調によるものがほとんどです。

それとは別に、老人は椎骨動脈・脳底動脈に血栓や梗塞が起こる椎骨脳底動脈不全症が考えられます。
これは放置しておくと、いずれ梗塞が脳に回り、脳梗塞を起こすリスクが高まるので老人の立ちくらみは注意が必要です。

3.回転性

頭痛が伴うもの

  • 小脳出血・クモ膜下出血
    頭痛が伴うものには、小脳・クモ膜下の出血と再発性の偏頭痛と2種類あります。
    小脳・クモ膜下出血の場合には、突発性のガ-ンというような頭痛が特徴です。
    この場合は様子を見ている場合ではなく、一刻も早く脳外科にかかる必要があります。

  • 良性偏頭痛性めまい症
    偏頭痛の場合は元々偏頭痛持ちの人、ストレスや疲労過多、寝不足などの偏頭痛の因子が強い人がなりやすいです。
    また、女性に多く小児にもみられます。
    聴覚症状はなく、頭痛と共に回転めまい起こり数分で治まる人もいれば、24時間かかる人もいます。
    これは再発性が多いので出たり出なかったりするのが特徴です。

聴覚症状が伴うもの

聴覚症状が伴うものは、更に突発性難聴・メニエール病・神経圧迫症候群などに分かれます。

  • 突発性難聴
    突発性難聴でのめまいは約1~2週間続きます。
    これは主にウィルス感染が内耳で起こり、前庭神経と蝸牛神経がウィルスに侵されて発症することが多いためです。
    質問の段階で、めまいが出る前に風邪などのウィルス感染がなかったかを聞くことも多いです。
    もし、ウィルス感染の疑いがあればすぐに脳外科へ促す必要があります。
    これは、前庭神経はウィルスに侵されて神経が傷ついてしまっても、その代償は小脳がするのでめまいは数週間で軽快しますが、蝸牛神経が侵された場合は、代償する器官がないので、聴覚は失ったままになってしまためです。
    なるべく初期の内に早くウィルスを消滅させる必要があります。
    また、ウィルス感染がなかった場合は、内耳梗塞の可能性があり、脳卒中のリスクが高まるのでこれも注意が必要です。

  • メニエール病
    メニエール病は内耳リンパ水腫と言われています。
    これは、内リンパと外リンパの循環と吸収が滞って起こるとされています。
    主に、自律神経失調による循環障害・ウィルス性・アレルギー性が考えられています。
    メニエールでのめまいは、1~2時間続きます。
    これは内耳のリンパ水腫なので、循環が改善するには少なくとも1~2時間はかかるということです。
    そして同時に聴覚症状も出てきます。
    そして、1~2時間でめまい・聴覚症状がおさまり、また症状が出てくるといった特徴があります。

  • 神経血管圧迫症候群(NVC)
    神経血管圧迫症候群は、脳の動脈で内耳神経を圧迫することによってめまいが起こります。
    このめまいの特徴は、1分以内に治まるということです。
    末梢神経は30秒以上発火出来ません。これは末梢神経の特長で、ずっと神経を圧迫していても30秒で神経は慣れて、刺激として成立しなくなります。
    つまり、圧迫のままでもめまいは一時的に止まるのです。
    しかし、圧迫が強くなったり、一旦圧迫がとれてまた圧迫されたりすると、まためまいは再発します。
    また、前庭神経と一緒に蝸牛神経も圧迫されると耳鳴りや難聴も併発します。

単独で起こるもの

単独で起こるものは誘発性と特発性の2種類に分けられます。

  • 誘発性
    誘発性は頭を動かしたとき、頸を動かしたとき、左上肢を動かしたときにめまいが起こります。

    1. 頭を動かしたとき
      頭を動かしたときにめまいがする場合は、30秒以内で治まるかどうかで鑑別します。
      30秒で治まれば、良性発作性頭位変換眩暈症(BPPV)で耳石障害が考えられます。
      もし、30秒で治まらずその体位で居る限りめまいがしてしまう場合は、悪性持続性頭位眩暈症(MPPV)ということになります。
      MPPVはほとんどの人が小脳か脳幹の出血か、梗塞か腫瘍があることが多いです。
      この場合は垂直眼振が起こることもあります。これも一刻を争う危険なめまいです。

    2. 首を動かしたとき
      これはゆがみや頚椎症によるめまいで、屈曲したときや回旋したときに決まって起こるものです。
      頚椎の変形やゆがみによって椎骨動脈が圧迫されて、脳幹に血液がいかなくなることでめまいが生じます。

    3. 左上肢を動かしたとき
      左鎖骨下動脈の起始部に狭窄があり、左上肢を動かしたとき(特に屈曲挙上)に鎖骨下動脈が更に圧迫狭窄されて、左鎖骨下動脈・椎骨動脈の血液が乏しくなります。
      すると、正常の右椎骨動脈から脳底動脈に向かうはずの血液が、循環不全の左椎骨動脈へと流れて逆流してしまいます。
      そして、脳底動脈から脳幹への血液供給が間に合わなくなり、脳幹の前庭神経核が虚血を起こしてめまいが生じます。(鎖骨下動脈盗血現象)

  • 特発性
    特発性のめまいは単発で、誘発されないもので遷延性非定型のもの、一過性再発性非定型のものに分けられます。

    1. 遷延性(せんえんせい)非定型
      遷延性のめまいは、主に前庭神経炎か脳幹梗塞・脳腫瘍などが考えられます。
      前庭神経炎としてのめまいは、数週間で治まることがほとんどです。
      前庭神経炎は突発性難聴と同じく、発症前にウィルス感染があったかどうかでおおよそ判断がつきます。
      もし感染があればウィルス性の前庭神経障害が高いです。
      しかし、患者がウィルス感染に自覚がない場合があり、その場合は温度眼振検査というテストがあります。
      これは、水道水か氷水を20cc位耳の中に入れると、正常な場合は前庭神経が反応し、めまいが起こりますが、もしめまいが起こらなければ、前庭神経に障害がすでに起こっていると判断するものです。

    2. 一過性再発性非定型
      一過性再発性のめまいはてんかん・一過性脳虚血発作(TIA)・神経血管圧迫症候群(NVC)があります。
      てんかんは、大脳の神経が興奮を起こして、過剰なインパルスが各地に送られて脳の誤作動が生じる発作です。
      てんかんの主な症状としては、痙攣や意識障害などだが、この発作でもめまいが起こることがあります。
      また、てんかんは子供に多く、成人になってのてんかん発作は脳腫瘍が潜んでいる場合があるので注意が必要です。
      一過性脳虚血発作(TIA)は基礎疾患として、内頚動脈系・椎骨脳底動脈の狭窄、前・中・後の大脳動脈の血流障害があるところに、一過性の低血圧が起こるとめまいが生じます。
      神経血管圧迫症候群(NVC)は前章で述べたので割愛します。

次はめまいの対策と自己訓練法を紹介します。